2023年7月から開始した撮影取材「松韻を聴く旅」も早くも2年半が経ち、北海道から鹿児島は自分のキャンピングカーで巡り、沖縄は飛行機で向かい本島でキャンピングカーを借りて離島も巡り、撮影ポイントは約550ヶ所、出会ってお話を伺った方は200人に迫ります。自分のキャンピングカーの走行距離も86,000kmを超えてきました。撮影した作品は「ランドスケープ(風景写真)」と「ポートレイト(人物写真)」に分けてファイルしています。

旅の記録は、一般財団法人日本緑化センターの季刊誌「グリーンエージ」の連載「松韻を聴く旅へ」で連載しており、現在14回を数えます。最新号は2024年の冬の出来事を書いており、こちらはゆっくり旅をしております。

今回は、この旅で出会った静岡市にある三保松原文化創造センター「みほしるべ」の方々からお声がけをいただき、企画展として予算化していただきました。とても個人の力では展示できない迫力の内容になります。写真専門ギャラリーではなく観光施設ですので、いかに写真展示に関心を持っていただくかが課題です。そこでインパクトと親しみやすさを感じる展示を考えました。三保松原は世界遺産の構成資産に指定された唯一の松原です。

展示も「ランドスケープ」と「ポートレイト」分けて展示を工夫しました。

「ランドスケープ」

企画展示室は常設で、三保松原の文化的背景や歴史的背景を紹介する展示になっています。そのフロアで特設の巨大な作品を展示し常設展示を圧倒することを考えました。幅3.6m X 高さ2mの巨大サイズの作品が2点。幅2.1m X 高さ1.2mの大サイズの作品が6点です。巨大サイズは高さ2mですから、これより背の高い人は極めて少数だと思いますので、すっぽりと写真の中に人が入り込むことができます。本来展示室は撮影禁止なのですが、モノクロ写真の前に色付きの人が立つ、インスタ映えスポットとして撮影可能ゾーンを設定していただくよう相談しています。

「ポートレイト」

企画展示室ではなく通称「通り土間」といわれているガラス張りで外からも見えるスペースがあります。日当たりが良すぎて写真の褪色が気になる場所ですが開放感があり素敵な場所です。ここではB2サイズ(たて728mmよこ515mm)を10枚展示ができますので、人物写真とその人から聞かせていただいた言葉をあしらってポスターにデザインしました。デザインは僕自身が行なってみました。この施設は清水港に入港する豪華客船の観光客のコースになっているので、多くの海外の方が来場しますので、英語表記にしています。ポートレイトをポスターデザインのような形態で展示するのは初めてですので、まずは挑戦してみて反応がよければ今後もできるだけ多くの方の写真と言葉をポスターにして展示をできたらと思っています。

この「松韻を聴く旅」は「松がつくり出す景観は、日本の文化財である」というメッセージを届け、松が置かれた現状は単なる環境問題ではなく、多くの人が認識する必要がある社会問題として広く発信し、多くの人の気づきと行動を引き出すことを目的としています。全国で取り組む多くの方と思いを一つにして写真家活動を継続してまいります。どうぞよろしくお願い致します。

日本写真家協会ウェブサイトの告知ページです。

 

令和7年度三保松原文化創造センター企画展III

「松韻を聴く旅〜写真家・川廷昌弘が出会った松原と人々〜」

会期:2026年2月21日(土)〜5月17日(日)

時間:9:00〜16:30(年中無休・入館無料)

会場:静岡市三保松原文化創造センター「みほしるべ」

住所:静岡市清水区三保1338-45

電話:054-340-2100

 

川廷 昌弘 Masahiro Kawatei

1963年兵庫県芦屋市生まれ。1986年博報堂入社。1995年阪神淡路大震災で被災し10年後に写真集「一年後の桜」出版。1998年テレビ番組「情熱大陸」の立ち上げに関わる。2005年地球温暖化防止国民運動「チーム・マイナス6%」でメディアコンテンツを統括。2015年SDGsアイコン日本版の制作をプロデュース。その後は政府のSDGs関連事業や企業のSDGsコンサルティングを手掛ける。2019年国連本部で開催されたSDGサミットのハイレベルサイドイベントでスピーチ。2020年著書「未来をつくる道具わたしたちのSDGs」出版。2021年東日本大震災から10年の節目に写真集「松韻を聴く」出版。2023年博報堂DYグループ定年退職。2025年震災30年の節目に写真集「芦屋桜、咲く。」出版。キャンピングカーでの全国各地への「松韻を聴く旅」を継続中。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員。博士(環境学)。慶應義塾大学特任教授。

【主な個展】

1992「週末の楽園」-Minami-boso- 銀座、梅田キヤノンサロン

1994「〜憧憬〜」 mole(東京)ブレーンセンターギャラリー(大阪)

1998「一年後の桜」 サードギャラリーAya(大阪)

2001「ロスト・マイ・ワールド」 銀座ニコンサロン

2002「なまず石」 サードギャラリーAya(大阪)

2003「一年後の桜クロニクル1994-2002」 ビジュアルアーツギャラリー(大阪)

2004「白杭の季節―湘南―」 銀座、梅田、名古屋、福岡キヤノンサロン

2009「松韻〜劉生の頃〜」 新宿、大阪ニコンサロン

2009「Boy’s summer 白杭の季節Ⅱ」キヤノンギャラリー銀座、植田、名古屋、福岡、仙台

2011「人工林の美、林業の現場。」 キヤノンギャラリー銀座、梅田、名古屋

2021「松韻を聴く」 蒼穹舎ギャラリー

【主なグループ展】

2000「震災と美術―1.17から生まれたもの」兵庫県立近代美術館

2011 JPS展「プロフェッショナルの世界」東京都写真美術館

2015「光の空—阪神淡路大震災から20年—芦屋」芦屋市立美術博物館

2016 JPS創立65周年記念「日本の海岸線をゆくー日本人と海の文化」東京芸術劇場

【写真集】

2005「一年後の桜」(蒼穹舎)

2007「白杭の季節」(リコシェ)

2015「芦屋桜」(ブックエンド)

2021「松韻を聴く」(蒼穹舎)

2025「芦屋桜、咲く。」(蒼穹舎)

【著書】

2020「未来をつくる道具わたしたちのSDGs」(ナツメ社)

2022「わたしからはじまるSDGs」(風鳴舎)